俳句歴50年

「手つかずの余生ありけり冷奴」
この句は、今月で95歳を迎えるご利用者Oさんの句です。
これからまだまだと意気込みを感じる、奥深いすてきな俳句だと思いませんか。
俳句を詠んでもう50年になるそうで、コロナ禍でも毎月投句し続けています。

「退屈ほど贅沢なものはない」とおっしゃり、
贅沢はせず、いつも何かをやっていらっしゃいます。
施設の玄関に住み着いていた“くろべえ”という猫の
ごはんや湯たんぽなどのお世話を9年間ずっと続けていました。
園庭の雑草をすてきに活けて下さるのもよく見かけます。
Oさんは寂聴さんの言葉にもあるように、
年をとってからは兄弟や親せきもさること乍ら、
一朝一夕に培ったものではない、趣味やともだちが大事と言います。
あるのよ」というほど納得がいくまで頑張っているそうです。
そして、生活に心配のないこの施設を天国と思って下さり、
老いても楽しみはたくさんあると楽しそうに話してくださいました。
全国組織の句会に属していて、一位をとったこともあり、
「人間は楽な方へ、ラクなほうへ行きがちだが、楽はせず
好きだから出来るかぎりなんでもやってます。」
原稿には“齢にしては上等上等と皆におだてられ、私もおだてに乗って
もう少し生きようかと思っています“という言葉が
句に添えられていました。